第7章 進化が止まるとき
https://gyazo.com/a19e08511c2ba5754b5fa4defdfa651b
自然選択で山に戻る
https://gyazo.com/80a1ab7f24107e70b6f3372f4da59f7f
(単純化のため雄は無視すると)たとえば「15歳の個体が、その後の一生の間に生んだ子どもの中で、15歳まで生き延びた子どもの数」
横軸:「個体のもつ遺伝子の組み合わせ」
https://gyazo.com/db20352dbf82dabbe21e07c94522e10f
遺伝子の組み合わせをもう1組追加して横軸を2本にすることもできる
三次元的な表現が可能
生物は自然選択によって地位番高い山に登るとは限らない
https://gyazo.com/006e7e03bba164abc1c77eb00bcd5f2e
Bに登るためにはAを一度降りなくてはならない
しかし自然選択は上向きに作用するので、生物は山Aを降りることができない
自然選択で山を下りる
シューアル・ライトが最初に考えた適応地形図は以上に述べたようなもの
その後、ライトは色々な適応地形図を考えた
横軸を「個体のもつ遺伝子の組み合わせ」でなく「集団の遺伝子頻度」に、縦軸を「個体の適応度」ではなく「集団の平均適応度」にした適応地形図も考えた
それからも様々な人々が、色々な適応地形図を考え、大腸菌やウイルスのデータを使って、実際の適応地形図を描いたりもした ただしここでは、適応地形図の上下を逆さまにしよう
これを逆適応地形図と呼ぶことにする
この方が進化の傾向を直感的にイメージしやすいと私は思う
横軸をシンプソンのように表現型にする
https://gyazo.com/ea0aab739a6934dadbeb764b51fc09e1
生物をボールに見立てると、ボールは自然選択によって、適応地形図の谷底に向かって転がり落ちていく
もしも谷底に落ちてしまったら、もうボールは動かない。そこで進化は止まる
何かの加減でちょっとくらい坂を上っても、すぐに谷底に転がり落ちてしまう
これが自然選択の中の安定化選択
実際には、一度は止まった進化も、再び進み出す
一つの可能性としては環境が変わる場合
谷だったところが盛り上がり、山だったところが低くなったりすれば、ボールは再び動き始めるはず
しかし、環境が変わらなくても、ボールが動き始める場合がある
自然選択が効かなくなる
原理的に進化のメカニズムは4つしかない
ただし、個々の条件を少し広く考える必要はある
ある生物が別の生物の細胞の中に共生して一つの生物になるような場合は遺伝子交流に含める そして、逆適応地形図において、自然選択は重力のように下向きに働く
他の力はどう作用するか
遺伝物質であるDNAのほとんどは、この染色体に含まれている 常染色体にはほぼ同じ染色体が2本ずつある
2種類の性染色体
父親からもらうのがXかYかは偶然で、ほぼ1:1
日本全体で見れば男女の数は大体1:1
正確には生まれるときの男女比が105:100だったり女性のほうが長生きだったりする
しかし、ある特定の家に限って考えれば、必ずしも男女比は1:1になってはいない
このように男女比が大きく変化した理由は、人数が少ないから
遺伝的浮動は集団の個体数が少ないほど強く働く
集団が大きくなるにつれてその効果は弱まり、無限大になれば効果はゼロになる
無限大の大きさの集団は現実にはありえないので、遺伝的浮動によっても進化が起きる
集団の個体数が少なくなると、遺伝的浮動の効果は自然選択の効果よりも大きくなる
集団における遺伝子頻度の変化をコンピューターでシミュレートした結果
https://gyazo.com/560e2d92090f657fc3ebb08239c0ea93
シミュレート条件
普通の対立遺伝子Aと有益な(子どもを多く作る)対立遺伝子B
Bを持つ個体はAしか持たない個体に比べて5%多く子どもを作る
初期条件はA:Bを9:1
どうやって谷底から這い上がるのか
自然選択が効かなくなった状態を逆適応地図ではどのように考えればよいか
ボールはいつも弾んでいる
個体数が少なくなるにつれボールの弾み方は激しくなっていく
あんまり激しく弾めば、谷底から谷の外側へ、ピョンと飛び出してしまうこともあるだろう
谷からボールが飛び出せば、ボールは弾みながら遠くへ行ってしまうかもしれない
ボールがコロコロと転がっている状態が「方向性選択」
谷底から出られない状態が「安定化選択」
ダーウィンが考えた漸進説は、ボールがコロコロと転がり続ける状態だろう
でもそれはちょっと考えにくい
たとえ体が大きいほうが有利だったとしても、際限なく大きくはなれないだろう
実際に大腸菌などで実験して、データに基づいて描いた地形も、山あり谷ありの地形だった
進化は止まることもある
化石記録から提唱された進化説
種は突然出現し、絶滅するまでほとんど進化しないように見える
この断続平衡説と逆適応地形図は別の話だが、まったく関係がないわけでもない
次章で